バブーシュにゼリージュウタン。スムスムのインテリアのラインアップに、クッションが加わりました。
こちらは、世界の旅先から持ち帰った生地を使ってクリエーションをする「laRihla《ラリラ》」からのアイテムです。
幾何学模様が美しいテキスタイルは、「草ビロード」と呼ばれるコンゴ民主共和国(旧ザイール)の伝統的な布のヴィンテージ。ラフィアで作られています。
男性が下地の平織りの布を織り、女性が立体感のある模様を凹凸を出しながら刺し込むのだとか。きっとアドリブで描き出した模様なのでしょうけれども、その美的感性には胸を打たれます。
もともとの仕上がりを活かすべくテキスタイルにはハサミを入れず、織られた当時のままの等身大の面影を感じていただける作りにしました。
(そのため、サイズ感にはそれぞれ個性がございます。)
いずれも1点ものです。
残念ながら今回は旅先から調達した素材ではなく、かつてアフリカ諸国に暮らした経歴を持つマラケシュ在住フランス人の男性から譲っていただいたものです。
2020年3月から3ヶ月間の長期に及んだ外出制限が明けてすぐのこと、外国旅行の気分を味わうべく訪ねた人。ほとんどの時間を室内で過ごした直後だったこともあり、久しぶりに異文化に触れて感動したことをよく覚えています。
西欧列国が引いた線によって半ば便宜的に国境が設けられ国家が作られたアフリカでは、国という縛りを越えた分布で無数の部族が存在しています。
草ビロードが作られていたのは、今で言うコンゴのあたりに位置したクバ王国。複数のエスニシティからなる首長国の集合体だったそうです。連邦国みたいなものでしょうか?
フランスで暮らすコンゴ人の知人女性から聞くところによれば、現在に至るまで紛争が絶えないコンゴから草ビロードを持ち出すのは非常な困難が伴うということです。
コンゴと言えば、日本でも「サプール」が話題になりました。
SAPEURs
;Société des ambianceurs et des personnes élégantes
(ムードメーカーでエレガントな人たちのソサエティ)
ファッションを通して「非戦、反暴力、平和主義」を唱え、おしゃれによる自己表現をアイデンティティとする人たちの集団。
彼らの哲学にならって、とまでは言わないまでも。
草ビロードの装飾性・芸術性の高さや唯一無二のユニークさを堪能していただくことはもちろん、このクッションを手に取ってくださった方々には、ぜひ「平和についても思いを巡らせていただければ」という願いも込めて作りました。
ものを通して世界の向こう側を知ること、変えていくべき何かを変えていくための小さなきっかけになることを祈っています。
裏面には、暖かい質感の無地のチャコールのテキスタイルを使用。
本体を縁取るヴォリューミーかつ繊細なフリンジは、資材屋さんの倉庫の中で眠っていたものを掘り当てたデッドストック。
誰に聞いてみてもはっきりした記憶がないようですが、少なくとも90年代にはすでに生産がなされていなかったということですから、もはや立派なヴィンテージですね。
留め具としてあしらったのは、民族衣装・伝統着に用いられる“ラァカド”と呼ばれる飾りボタン。いずれも表面の色柄およびフリンジに合わせて配色しております。
家と旅。プライべートとアヴァンチュール。正反対のように見えて、実は表裏一体。
スムスムのインテリアのシリーズでは、日常の中にも旅のエッセンスを取り入れるかのような、心がふわっと喜ぶようなアイテムをお作りしています。
いつものお気に入りの空間に遠い異国の色と柄で挿し色を入れて、自分だけの空間作りをお愉しみください。
※中材は付属しません。カヴァーのみの販売となります。
また、草ビロードはヴィンテージです。おおらかな手仕事によるもともとある歪みや、経年による痛みやほつれなども多少は見受けられますので、こういった世界観と風合いがお好きな方のお買い求めをおすすめいたします。
また、素材の質感により、肌触りにはごわつきがございます。あらかじめご周知くださいませ。
◆laRihla《ラリラ》◆
アラビア語で「旅」を意味する、世界旅行からのインスピレーションによるスムスムの新ライン。
異国をめぐる旅の中で出会った素材を持ち帰り、モロッコの伝統技術で形にする。
フランスの西洋更紗 トワル・ドゥ・ジュイ 《Toile de jouy》で 。ブルキナファソやコートディヴォワールのバウレ族 《Baoulé》 の腰巻で。そしてインドから持ち帰ったハイデラバードの手織りイカットも。エトセトラ、エトセトラ。
世界中のテキスタイルを用いたスムスムの新世界。
〔laRihla〕クッション・フランジュ&キャレ〈ショワ族の草ビロード②〉✴︎
本体
縦/約49cm 横/約55cm
フリンジ
長さ 約2-3cm